レンズ越しの彼
(…っ!近いって!)


動揺を悟られないように、
写真を見るフリをして
嵐から顔を背ける。



「雑誌の編集者の人たちと
ちょっとだけ
打ち合わせする予定だけど」


平常心を装って、
答える。



「その後は?」



「何もないよ。
どうして?」



「じゃあ久しぶりに
家に夕飯食べに来なよ。
姉貴も会いたがってるし」


(なんだ、そういうことか)
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