レンズ越しの彼
「あっ…」



嵐は私の言葉を遮って、
言いたいことだけ言って
スタジオを出ていった。



「相変わらず
気に入られてますね。
沢木さん」



「え?」



振り向くと
編集者の相田さんが
立っていた。



「お疲れさまです。
ふふ。嵐君にですよ」



「あ、お疲れさまです。
いえ、気に入られてるっていうか、
ただ昔からの知り合いってだけで」



「本当にそれだけですか?」



何かを見透かすように
ちょっとイタズラっぽく
聞いてくる相田さんに
内心たじろぐ。
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