ベナレスからの手紙
三回忌2
「そう言えば兄妹みたいだったよなお前ら」
児玉が茶々を入れる。
「そんなことないよ」
治は一瞬ふさぎ込んだ。宮本がすかさず、
「ねえ、覚えてる?私が若林君に手紙渡したこと?」
わざとらしく明かるげに覗き込む。
「忘れたよそんなこと」
治は不機嫌に答えた。
「柴山さんのこと好きですかって書いて渡したじゃない、
おぼえてない?」
「おぼえてない!」
治はきっぱりと否定した。
「彼女返事がなくて落ち込んでたわよ」
「知らないよそんなこと。だって好きとか嫌いとかわからないよ小学生じゃ」
治はむきになった。ここぞとばかり宮本は食い下がる。
真剣なまなざしで、立ち止まり、
「じゃあ、今はどうなの?」
じっと治を見つめる宮本。思わず治も児玉も立ち止った。
「いや、それは・・・。それこそ妹みたいで。何というか
嫌いじゃないし。ちょっと太めだけど、どちらかというと、
好きだったかも」
3人はまたゆっくりと歩きだした。勝ち誇ったかのように宮本は、
「ほら見てごらん。はっきりと言ってほしかったのよ彼女。
その一言で幸せに死ねたのに。男ってホント鈍感なんだから」
児玉が茶々を入れる。
「そんなことないよ」
治は一瞬ふさぎ込んだ。宮本がすかさず、
「ねえ、覚えてる?私が若林君に手紙渡したこと?」
わざとらしく明かるげに覗き込む。
「忘れたよそんなこと」
治は不機嫌に答えた。
「柴山さんのこと好きですかって書いて渡したじゃない、
おぼえてない?」
「おぼえてない!」
治はきっぱりと否定した。
「彼女返事がなくて落ち込んでたわよ」
「知らないよそんなこと。だって好きとか嫌いとかわからないよ小学生じゃ」
治はむきになった。ここぞとばかり宮本は食い下がる。
真剣なまなざしで、立ち止まり、
「じゃあ、今はどうなの?」
じっと治を見つめる宮本。思わず治も児玉も立ち止った。
「いや、それは・・・。それこそ妹みたいで。何というか
嫌いじゃないし。ちょっと太めだけど、どちらかというと、
好きだったかも」
3人はまたゆっくりと歩きだした。勝ち誇ったかのように宮本は、
「ほら見てごらん。はっきりと言ってほしかったのよ彼女。
その一言で幸せに死ねたのに。男ってホント鈍感なんだから」