制服汚しちゃいました
「よかったな、姉ちゃん。」
あたしが歩くのに合わせて、蓮も自転車を押しながら歩いてくれる。
「うん?何が?」
「仲﨑さんと付き合えたこと。」
「ふふっ、うん!」
「幸せにしてもらいなよ?
姉ちゃん、苦労してきてるんだから。」
「うん。ありがとう。」
「んなの、当たり前。」
急に背後から声がして、蓮と同時に後ろを振り返る。
声の主は、もうわかってる。
「悠翔…。」
「幸せにするなんて当たり前だから。」
「…うん。」
「俺、邪魔だな。
じゃあ、よろしくお願いしますね、仲﨑さん。」
「あぁ。」
なんだか、場の状況についていけてなかったあたしが、ボーッとしていると、悠翔があたしの顔を覗きこむ。
「…藍梨?」
「えっ、あ、なに?」
…もう。カッコよすぎる。
そのおかげで、一気に現実に戻ってきた。
「いや、別になんでも。
ボーッとしてたから。」
「ごめん。」