制服汚しちゃいました
「伊川、忘れもん。」
体育館から出て、更衣室に行く途中のことだった。
後ろから声をかけられる。
仲﨑くんだ。
タオル、体育館に忘れてたんだ…。
「ありがと。」
「……試合、ちゃんと見てた。」
「ほんとに!?」
「ああ。」
「どうだった?」
「カッコよかった。
いつもの馬鹿な伊川とは別人に見えた。」
「“馬鹿な”は余計。
でも、ありがとね。ちゃんとみててくれて。」
「伊川が言ったんだろ。みてろって。」
「そうだけど、ほんとに見ててくれてると思ってなかった。
仲﨑くん、体育祭とか、めんどくさいって言ってたから。」
「まあでも、見るのとするのは違うしな。」
「そっか!
よし、じゃあ、そろそろ着替えてくるね!」
「ああ。」