制服汚しちゃいました
「…えぇと、ちょっといいかな?」
不意に声をかけられ、ビクッとする。
振り向くと、そこにいたのは相原さんだった。
「…えっ。……あ、はい。
なんでしょう?」
「ごめんね。声かけようとしたんだけど、なんかかけづらくて。
今の見ちゃってたんだ。」
「そう…ですか。」
「…本当は見るつもりじゃなかったんだよ。
はい。これを渡しにきたんだ。
忘れてたでしょ?藍梨ちゃん。」
手渡されたのは、薄ピンクの生地に、蝶の刺繍が施されている、あたしのお気に入りで、大切なハンカチだった。
「ありがとうございます。」
「どーいたしましてっ。
じゃあ、またね。」
「はい。」
相原さんはあたしにハンカチを渡すと、笑顔で去っていった。
「相原さんいい人だね、藍梨。」
「うん。そうだね。」