制服汚しちゃいました
「じゃあ行こうか。」
そう言って柔らかい笑みを見せ、歩き始める相原さん。
あたしは相原さんに続いて、歩みを進めた。
「どこに行くんですか?」
「特に考えてないかな。
気の向くままにって感じ。」
「そうなんですか。」
「あっ、藍梨ちゃん。
敬語使わなくていいよ?
それと、俺のことも“相原さん”じゃなくて、名前で呼んで欲しいな。」
「…朔…さん?」
男の人を名前で呼ぶなんてあまりないから、少し恥ずかしくて、つい小声になる。
「うん、そう。」
「あ、ねぇ、電車乗らない?」
「電車?どこに行くの?」
「んー、どこ行こう?
どこに行きたい?」
「行きたいとこないのに言ったの?」
「うん。なんとなく乗りたいなって。」
「ふふっ、そっか。
んーっと、じゃあ」