制服汚しちゃいました
えっと、これは危ない感じなのかな。
いやでも、抱きしめる以外は何もしないって言ってたし、大丈夫だよね…?
まあいざというときは、どうにかして止めよう!
そう思ったあたしは、じっと目合わせたまま動かずにいる。
というか正確に言うと、動けずにいる。
前髪が少しかかった茶色の澄んだ目には、あたしがうつっている。
その瞳に今にも吸い込まれそうで…。
「藍梨ちゃん。」
「は、はいっ!」
「ふふっ、なんで敬語?」
目を細めて笑う朔さん。
その姿は可愛くて、でもカッコよかった。
「なんか反射的に…。」
「大丈夫。何もしないって。」
「…うん。」
しばらくそのままでいた。
濡れていた服がだんだんと乾いてくるのに反して、あたしの体は冷えていった。
「…っくっしゅん。」
「大丈夫?藍梨ちゃん。
そろそろ行こうか。」
朔さんは体を離して、立ち上がる。
あたしも一緒に立ち上がった。
「…戻るの?」
「うん。
んで、あっちで服買ってあげるよ。
そのままじゃ、寒いでしょ?」