「嘘」と「愛」
「ちょ、おい、大丈夫かよ!!」
しゅうくんが泣き出した私を心配している。
でもそんな言葉はなにも入ってこない。
もちろん、しゅんくんもあーくんのことを知っている。
私たちが幼稚園に入る頃、あーくんは家の近くに引っ越してきた。
それからは、3人でよく遊んだ。
しゅんくんは、最初の頃は「気に入らない。」など言っていたけれど、いつの間にか親友になっていた。
そんなしゅんくんですら転校の理由を聞かされてなくて、すごくショックだったようだ。
それでも、あの時のしゅんくんはすごく落ち込んだ私を一生懸命に励ましてくれた。
今だって自分も驚いてるはずなのに、先に私のことを心配してくれる。
ほんとに、いい幼馴染みを持ったなって心から思う。
だから私は、
「大丈夫、ごめんね?あとで3人で話そっか!」
心にもない大丈夫を言う。しゅんくんに心配かけたくないしね。
ポンポン
「え...」
しゅんくんは頭を撫でてから、前を向いた。
しゅんくんはなんでもお見通しなんだね。
いつもありがとね。しゅんくん。
そう心で思いながら私も前を向いた。