「嘘」と「愛」
少しの沈黙が続く。
先に話し出したのはしゅんくんだった。
「なぁ...。お前気づいたか?」
「あたりまえだよ。気づかないわけない、」
「だよな。あいつ分かりやすいもんな~。」
そう、私たちが気にしてたのは「親父の転勤」って言うのが嘘だということ。
あーくんが嘘をつくとき鼻を触るくせがある。12年前にもあーくんが嘘をついたことがあった。
12年前の話に遡る。私が幼稚園の頃、飼っていた鳥を逃がしちゃって、一日中ずっと泣いていた。
そんなとき、あーくんとしゅんくんが必死に探してくた。
ある日、
「花蓮!みつけたぞ!ほら!」
そーいってあーくんとしゅんくんは自信満々に見せにきた鳥は私が飼っていた鳥と同じ種類。まったく同じだったけど、飼っていたのとは違う鳥だった。
その時もあーくんは鼻を触っていた。大きな嘘をつくとき、いつもそのしぐさをするんだ。
後から聞いた話だと、何度もお店にいってそこの店長さんに譲って下さいとお願いしたらしい。
それが本当にうれしかったから私はずっと信じてるふりをしていた。
あの時と同じなんだよ。あーくん。嫌でもわかっちゃうんだ。
「なんで嘘つくかな~。」
「きっと、大きな嘘なんだよ」
「大きな嘘?」
「12年前も、同じことあったでしょ?あーくんは大きな嘘をつくときにしかあのしぐさはしないんだよ」
「あぁ...そーだな。きっとあいつにも色々あったんだよな。あいつから言い出すまで信じて待っとくか」
「そーだね、なんにせよ、明日から同じ学校だよ?!楽しみ~♪」
「なにをそんなうかれてんだか。ま、じゃぁまた明日な!」
そーいって私たちは自分の家に帰った。
あの嘘の裏には12年前なんかより比べ物にならないくらい大きい嘘だということに、この頃の私はまだ気づかなかったんだ。