晴ヶ丘高校洗濯部!


「な、なん、どうして」

「さっきの時間やたらこっち見てなかった?」


バレてる……!

こっそり盗み見ていたつもりだったのに、米川さんはそれに気づいていたというのか。

うわあああ、と心の中で小さな私が絶叫する。実際の私はぽかんと口を開けたまま固まってしまった。

そんな私を不思議そうに見て、米川さんは再度首を傾げる。教室にいたクラスメイトたちは私たち二人が話している様子を、興味深そうに見ていた。


「ね、何かついてる?」


浮いている者同士の会話がそんなに珍しいのだろうか。いや、うん、珍しいのだろうな。教室中から遠慮なく向けられる視線が、ただただ好奇心に包まれている。

米川さんの顔をしっかり見たことはなかったけれど、こうして近くで見てみるとバッチリお化粧が施されていて、カラコンも入れているようだった。

明るい髪色とそのお化粧が米川さんを大人っぽく見せていて、余計に近寄りがたく感じるのかな、なんて。

私という人間はパニックになればなるほど、どこか冷静に分析する癖でもあるのだろうか。加工された大きな黒目がじっと私に向いていて、何か言わないと、と焦った私は口を開いた。



「ほ、……惚れました」

「は?」


あ、終わった。



< 195 / 295 >

この作品をシェア

pagetop