ねこ
案の定、「寝てますか?」と彼女は尋ねた。

俺が狸寝入りを続けていると、顔に影が落ち、彼女が近くに寄ってきた気配があったので、頬を引っ張ったり、体を揺さぶったりなんていう荒療治にでるのだと予 想した―――が、「先輩、起きないでくださいね」なんて言うので、何をしだすのかと思ったら、次の瞬間、唇に何かが触れた感覚があった。

―――え?

何が起きたのか理解できなかった。唇を塞がれている間、時が止まっているように感じた。
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