Syndrome not to need
「……ねぇ秋穂ちゃん。」

「なんですか?」

陽子さんは私の腕のシャツをまくりながら、聞いてきた。

「この痣も、転んだ時にできたの?」

「へ………あ、………!」

その痣は、クラスのいじめてくる女子が私を押して、腕に痣ができた時の傷だった。
…他には特にないから、そういうことで、大丈夫…だよね…?

「た、ぶん、そうです。」

「そう…。それと、これ、こけた傷というより切り傷よね?」

「…………っ。」

やっぱわかるか…。それにこけたとき、こんなところ怪我しないもんね…。

「まあ訳はお兄ちゃんに聞くからいいとして。
秋穂ちゃん。私はもう、貴方を家族同然として思ってるの。
だから、何か隠していることがあればいって欲しいの。辛いことも、悲しいことも…。
全部私達は受け止めるから。」

……陽子さん…。そんな風に思ってくれてたんだ…。
……………優しいなぁ………。
でもいじめは、言えないな…。
私がうつむいていると、

「……まあ無理強いはしないから安心して!
さ!怪我のところ、包帯巻いたよ。
血が結構出てるから、傷、深いかもしれない。
明日、主治医の先生のとこの病院行こっか!」

「はい…!」

今日は父親と陽子さんのお陰で、結構元気でたなぁ…。

「あ!それと、律郎が教科書見て頭抱えてたから、教えに行ってあげて!」

「はい!」

陽子さんはニコッと綺麗な笑顔をしていた。
< 10 / 19 >

この作品をシェア

pagetop