Syndrome not to need
『トントン』

「律郎、入るよ?」

「姉ちゃん!お帰り!!!姉ちゃんが部屋に来てくれるなんて珍しいね!!どうしたの?!あと律郎って呼び方やめてー!」

律郎は、陽子さんと清志さんの子で、私の従兄弟。
中学二年で、最近髪を金髪に染めた、ヤンキーぶってるけど本当は可愛くて優しい子。

「じゃありっちゃん、だね。」

「そ、それもやだ……。どうしたの?急に。」

「叔母さんに勉強教えてあげてって。」

「い、いや…別に一人で出来るしっ?」

「すごく悩んでるって聞いたよ?」

「母さんめ…。」

律郎はボソッと不満げに呟いた。

「教えてあげるよ。何処がわかんないの?」

「………ここから、ここ。」

結構多いなぁ…。でもちゃんと勉強して偉い。
金髪を黒髪に直してほしいなぁ…。

「わかった!教えてあげるよ。」

「でも姉ちゃん、制服のままじゃ辛いだろ?着替えてきなよ!
……どうしたの?二の腕の血。」

「え?!あ、転んだだけだよ!じゃあ着替えてくるね!」

「あ、…。」

私は逃げるように律郎の部屋を出た。
……律郎に迷惑かけたくないから、これもバレたらだめだよな…。
うーん、早く治れ切り傷…。
というか制服のままじゃ辛いって……律郎本当に優しいなぁ…。あれじゃあ学校でモテモテだろうな…。
そういえば律郎ってどこの中学校通ってるんだろう?

私は自分の部屋へ着替えに行った。
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