Syndrome not to need
「どうしてあんなことになってたんですか?」

警察官の人達に事情を聞かれて、私はありのままを話した。

その後、家の人の電話番号を聞かれた。
…どっちにかければいいのかな。
産みの親と育ての親…。
私は産んでくれた親の家の内倉家、
中二の頃から育ててくれている育ての親の佐久家、どちらに電話をするかかなり悩んでいた。
あ、一応今は佐久という名字で皆に呼ばれている。住んでるところは佐久家、だからね。
まあ一応産みの親かな……。やだなぁ電話かけるの……。
私は産みの親である内倉家の家の電話に電話をかけた。

『プルルル…プルルル…ツッ…はい、こちら内倉家です。』

「あ……お久しぶりです峰さん。秋穂です。」

峰さんとは、内倉家にずっと仕えてくれているメイドさん。
フルネームは峰 貴子(みね たかこ)さん。

『秋穂さん?!久しゅうございます!お元気でいらっしゃいますか?
こちらへ電話をかけるのは緊急以外禁止だと旦那様がおっしゃってましたが、何かおきたんですか?』

「ちょっと色々あって警察の方にお世話になってて、親に連絡してと言われ…。
どっちの家にかけるか迷ったんですが…。」

『迷ったのですね……。』

その時の峰さんの声は少し切なげだった。

『とりあえずご主人にお電話を通しますね。』

「………はい…。」

お父さん…か。話したくないな…。
もう会いたくもない、話したくもない。
縁を切りたい。縁を切りたい……。

『~~~~~~♪……ッブツッ…
……。何だ。何の用だ。峰さんに話しは聞いた。警察に厄介になるとは。』

父親の声は酷く怒っているような声で、ため息をつかれた。
ため息つきたいのはこっちだよ…。

『とにかく今からそっちへ向かう。住所を言え。内容は車の中で聞いてやる。』

何その言い方…。だから父親は嫌いなのよ。

『別に来なくていい。伝えた方がいいと思っただけだから。
私が厄介なんでしょ?私なんかに構わないで大好きな仕事でもしてたら?』

私は初めて父親に反抗なるものを言った。
今までは父親は怖かったし、お兄ちゃんが反抗したら殴られてたのを見て怖かったし…。
でも今は離れているせいかな。怖さが少し無い。

『……はぁ。父親にその物言いとは。何故お前だけそこようなダメ娘になったのだろうな。
いいから早く今いる場所を言え!!こっちはつまらん言いあいをしている暇はないんだ。』

「っ……。……〇〇市〇〇町〇〇……」

私は今の場所を伝えた。
忙しいんなら来ないならいいじゃない。

『…わかった。そちらへ車へ向かう。そこから一歩も動くな。いいな。』

そういって私は一方的に電話を切られた。
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