エンディングは”そこ”じゃない……

彼を亡くしてから海を悲しいイメージとして捉えるようになった。

それは私が見る夢にも関係しているのだけど……

***

光の届かない深い海の底へゆっくりと沈んで行く私。

呼吸も出来なくて息苦しいのに海面に向かって浮上しようとはせずに

ゆっくり、ゆっくりと真っ暗な海の底へと沈んで行くに体をまかせる。

「あぁーこのまま死ぬのかな?」

そんな事を思っている私の耳に息子の激しい泣き声が聞こえてきて目を覚ます。

そんな時は決まって全身が汗でびっしょりと濡れている。

息を止めていたのか?

胸が苦しい。

当たり前にしていた呼吸の仕方まで忘れてしまったように上手く息が吸えない。

ゼイゼイと荒い息遣いが落ち着くのを待ってから泣いている息子を抱きしめて

「ごめんね」と言いながら一緒に泣く。

そんな夜が何度もあったからだ……


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