エンディングは”そこ”じゃない……
彼が亡くなってから葬儀までに処理しなければいけないことが山積みだったこともあって泣く暇も無かった……
ちょっと違うかな……
『本当に彼の死を受け入れていたか?』と自問したら
『NO』と答える事になった筈。
それだからか、お義母さんやお姉さんのように泣けなかった私
そんな私が取り乱して感情を爆発させたのがこのセレモニーホールに併設している火葬場でのこと。
棺が納められた扉が閉まり、係の人にこのスイッチを押して下さいと言われた時だった。
「嫌だ押さない。押せないよ。嫌……いやいや」
頭をブンブン横に振り腰が抜けたようにしゃがみ込んで、子供のように泣きじゃくった。
近くで見守っていた親族たちのすすり泣く声が一段と高くなる。
見かねた父が私に駆け寄り私の体を引き上げながら
「これはおまえの役目だよ。最後までしっかり務めなさい」
私にそう言った父の顔も涙で濡れていた。