エンディングは”そこ”じゃない……
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「そんな理由でこの場所に来たのは6年振りなんです。
母が告別式に行く直前に足首を捻挫してしまったので……
もう大丈夫かと思ってたんですけど、考えが甘かったみたいです。
本当にご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありませんでした……」
深々と頭を下げてから顔を上げると男性は神妙な表情をしている。
「失礼ですが……あなたの話をちゃんと聞いてくれる人はいますか?」
「えっ?それは……」
どうしてそんな事を言われたのかと首を傾げていたら
「全然知らない人間だから言える本音もありますよね。
実は私もあなたと同じで大切な人を突然亡くしました……」
男性が私の話に耳を傾けてくれたのはその事が理由かも知れないそう思った。
「私は妊娠中だった妻を事故で亡くしました。
車を運転していたドライバーは心臓発作を起こして意識を失っていたそうです。
ただ不運が重なったに過ぎなのかも知れないけれど……
どんな理由であっても割り切れるものではありませんでした」