FIRST KISS ~オムニバス~
「…………寂しいよ、馬鹿。」
真っ暗になった外の風景をもう治りかけた身体を起こして見つめていた。
彼が帰ってくるって、心の中で思っていたのかもしれない。
アホらしいけど、大好きだった。
今さら後悔したって遅いけど、メールの受信履歴をじっと見つめて彼からのメールを待っている。
「沙希、早く寝なさい。」
「分かってる。」
涙が今さら零れてきて縮こまった。
馬鹿なのは、あたしだよ。
ゴメンね…………。
「…………。」
“コツン。”
窓に、何かぶつかった音がした。
軽い、あたしを呼んでいる音。
急いで、窓を開けた。