FIRST KISS ~オムニバス~

「…………。」

部屋に閉じこもって泣いていた。
君には、もう逢えないんだね。
誕生日にも。
旅行にも。

“佳奈?ゴメン。昨日はあれから会えなくって。”

携帯の留守電を聞いていた。

“ゴメンな、俺の自分勝手な性格のせいでお前を泣かせた……。それが一番辛かったし、後悔してる。”

「嘘ばっかり……!」

“また、帰ったら。もし、まだ俺を好きで居てくれたら。”

君も、泣いてたのかな?
声が震えてた。
アタシも、寂しいよ……!

“今度は俺が幸せにするから。”

ねえ、期待したんだよ?
この言葉だけに。
アタシはまた泣いた。

“今日の夕方、俺は成田から出ます。元気で。で、幸せになってください。”

そんなの、できっこないじゃん。
涙が出ちゃうよ……。
君より良い人なんて、絶対見つからない。

「…………。」

浩樹。
最後のワガママ、聞いてくれる?

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