FIRST KISS ~オムニバス~

“ガタンゴトンガタンゴトン。”

電車の中。
運転席に近い所で、早く付いてって念じてた。
そんなの、無駄なのにね。

何度も君からのメールを読んでた。
『楽しかったね。』
『今日の服も可愛かったよ。』
『体調どう?』
そんなのばっかり。
アタシの心配ばっかりで、君は心配させてくれない。
いつも、そうだったよね。
君はアタシのお兄ちゃん役。
時々それが疎ましかった。
でも、今考えると泣けてくる。
ごめんね、謝る事ばっかりだ。

「……浩樹。」

君が近くに居てくれないから、アタシはギュッと携帯を握り締めてた。
君が、行ってしまわぬように。ただ、念じてた。

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