FIRST KISS ~オムニバス~
「……ねえ、好きな人できた?」
「ううん、まだだけど?」
「ふぅん。まあ、関係ないんだけどさ。」
「なんだそれ。」
いつも、こうして話していた。アタシと彼は従兄妹同士。
恋愛感情は、よく分からない。でも、お互い信頼していて小さい頃からずっと仲がよかった。
どうして、従兄妹との恋愛はいけないんだろう。
本当に小さい頃思っていた。
今は、当然の事として受け止めている。
けどさ……やっぱり気になった。
「……ファーストキスって、いつ?」
「え!?」
彼は顔を真っ赤にしてアタシを見た。
「小学校のとき、好きな女の子と。同じクラスのね。」
「え…………?」
お互い、初めてだと信じていたキス。
違かったんだね、アタシと彼の関係は。
少し、がっかりした。
「ねえ、好きな人が出来たの。」
「……え?」
彼は驚いた顔でアタシを見た。
そんな顔をされたら期待しちゃうのに。
馬鹿。
「……凄く近いのに、鈍感。頭が良いけど、馬鹿。」
「へ?なにそれ。」
からかいだった、はずだったのに。