あたしをア・イ・シ・テ
そのとき、どこがでギギギィ…、と音がした。
まるで、鉄の重たいドアが開くような…。
「あらぁ、やっと目覚めたみたいね♪」
「誰!?」
聞いたことあるような、ないようなこの声。
誰なの!?
目が見えない分、急速に不安が募る。
心臓がドキドキと早い鼓動を打つ。
「アタシのこと忘れちゃったのぉ?」
必死に頭を回転させるも、なにも思い浮かばない。
誰…、でもあたしの周りには語尾を伸ばしてこんなにムカつく喋り方をする人はいない。
心当たりを探すうちに、足音があたしに向かってきていた。
あたしの前で止まった足音の人物は、あたしの顎を持って思いきり上にやった。
ゴンッ
「った、なにす…!」
そのおかげで後ろの柱に頭が当たって、またクラクラする。
と、同時にアイマスクをガバッと上げられて、相手の顔を見た瞬間、あたしは目を見開いた。