あたしをア・イ・シ・テ
「あんたはぁ~、アタシの彼氏を盗ったワケ。わかるぅ?アタシが怒って当然なんだから」
は…?彼氏って、まさか…
「あ、そうそう、アタシの彼氏ももう起きたかなぁっ♪」
奈々加は笑いながら建物の奥へとスキップして行った。
彼氏ってまさか、唯翔?
だとしたら、唯翔もこんなことされてるの!?
そこで、やっとあたしは自分のいる場所の確認をした。
薄暗い廃工場、といった感じでアイマスクを外しても多少明るくなった、という印象しかない。
月明かりしか、この建物には明かりがない。
今…、何時?
夜中なのは確かだけど。
というか、何日?
いや、それよりも奈々加があたしをここまで運んだって言うの?
そんなの、無理でしょ。
たかが女の力でできるわけない、他に協力者がいるんだ。
あたしがそこまで考えを巡らせたとき、うわぁぁ!!と男の悲鳴が聞こえた。
この声は、やっぱり!
「唯翔!?」