あたしをア・イ・シ・テ
「やっぱり痛め付けて殺すのが一番かなぁ…。アタシのユイトを取ったんだもん、それがいいや!」
パンっ、と両手を打ち付けて、また笑うと、奈々加は奥に走って行った。
「…ぁあ」
なんでこんなことになったの?
あたしは奈々加がいなくなり、少し死への恐怖がなくなって脱力した。
助けも来ない、あたしたちしか誰もいない。
こんなところで死ぬのなんて絶対に嫌。
でも、どうすれば逃げ出せるの?
奈々加に甘すぎる仕返しをしたことが悔やまれた。
もっと攻撃を加えていれば…。
でももう、復讐なんてどうでもいい。
唯翔と二人で普通に幸せに過ごせるなら。
ここから抜け出せるなら、なんでもいい。
あたしは結局、唯翔を取られて寂しかっただけなのかも知れない。
ただ唯翔の気を引きたかっただけ。
そう思ったら、もう唯翔さえいればなにもいらない気がしてきた。
あたしは脇に倒れたままの唯翔になにもできないのが辛くて、目を背けた。