あたしをア・イ・シ・テ
「…めい」
…空耳?
「芽衣」
「ゆ、唯翔?」
倒れたままの唯翔が顔だけ少し動かして、あたしの方を向いた。
意識、戻ったんだ、よかった。
ほっとして涙が出そうになる。
でもそこはぐっとこらえた。
「あんなスタンガンで気ぃ失うとか情けねー、俺。ちょっと待ってろ、今、縄切るから」
「え、唯翔もう大丈夫なの?」
「あーちょっと体がだりぃ気もするけど大丈夫」
むくっと起き上がると、唯翔はポケットからカッターを取り出してあたしの腕を縛っている縄を切ってくれた。
なんでポケットにそんなものが入っているのか気になったけど、それどころじゃなかった。
「唯翔、逃げよう、早く」
唯翔の手を引くけど、唯翔は動こうとしない。
「お前だけ逃げろ。右の方に行けば、窓から出られるから」
今逃げれば、二人で逃げられるのに!
唯翔なに言ってるの?
「俺の責任だろ、こうなったの。あいつはホントに芽衣を殺す気でいる。だから逃げろ」
「今なら唯翔だって一緒に逃げられるでしょ!」