あたしをア・イ・シ・テ




「まだそんなこと言ってやがるのか」


ははっ、と笑う侑矢も奈々加と同様にもう狂っていた。

だから、こいつの次の行動に注意していれば気づけたはずなのに。


「うっ…」


ふいに横から微かな風が来たかと思ったら、頭に痛みが走った。

またバットかなにかで殴られたらしい。

思わず地面に座り込む。

ガンガンと痛みが頭に響いてくる。

どいつもこいつも、あたしの邪魔して…!


「お前には死んでもらう。これは罰だ。奈々加からのな」


侑矢がニヤリ、と笑ったその表情は闇に紛れてあたしの目には届かなかった。

頭が痛い。

生暖かいものが耳の後ろを流れて落ちていくのがわかる。


血…しかないよね。


奈々加に殴られた分もあって、頭痛はひどくなっていく。


どうせ死ぬなら、こいつを殺さなきゃ。

後で唯翔が困ってしまう。


「…」

ふらり、と立ち上がるあたしはさながらゾンビのようだったかもしれない。


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