あたしをア・イ・シ・テ
「奈々加ってのは誰だい?」
「唯翔の浮気相手です」
あたしがその言葉を発した途端、警官の顔が一瞬固まった。
「浮気相手…?ま、まぁそんなことは後だ!一刻を争うようだから香川さんに伝えて…。その廃工場ってのはどこだかわかる?」
香川さんと言うのはさっきのおじさんの警官の名前なのかな。
「夜だったからわかりません…」
そうだ、廃工場って言ったってどこにでもそんなものはある。
でも、学校からそう遠くない場所のはず。
「でも、学校の近くだと思うんですけど」
「そうだね、僕もそう思う。よしじゃあこれ、僕の名前と電話番号。なにかあったら連絡して」
手帳を引き裂いてあたしに渡すと、そのまま走って病室を出ていってしまった。
あたしはここでジッとしてろってこと?
もらった紙を見ると、"三崎 隼人"080-××××-××××と番号があった。
あたしはそれをポケットに入れて、椅子から立ち上がった。