あたしをア・イ・シ・テ
Ⅱ
「…」
奈々加の家の前に到着したものの、なんの音も聞こえてこない。
辺りは無音で、昼間だと言うのにシンとしていた。
唯翔は、無事かな…。
早く助けたいという気持ちの反面、怖いという感情があった。
これ以上に頭に刺激を加えたら、命がなくなる危険性もある。
それでも、踏み込むしかないけどね。
カチャ、となるべく静かに玄関の扉を開ける。
やっぱり物音一つ聞こえない。
…もしかして、ここにはいない?
だとしたら、居場所なんてわかりっこない。
でも玄関の鍵は開いていたからいる可能性はある。
車はなかったから、物音がしないことからしても家にはいないはず。
あたしはごくりと唾を飲み込み、階段を上がることにした。
なんとなく、部屋は二階な気がするし。
慎重に上がって、見てみると二階には部屋が3つあった。
一番奥にはプレートが掛かっていて、"NANAKA"と書いてある。
あそこだ。
心臓が破裂しそうなほどドキドキしてきた。
色んな感情がごちゃまぜになって、冷静さを保つので精一杯。