あたしをア・イ・シ・テ
ドアに耳を寄せて、中の声が聞こえないか確かめてみる。
すると、微かにだけど声らしきものが聞こえた。
防音の壁?
普通の部屋を、そんな壁にするもの?
疑問は湧いてきたけど、そんなことを気にしてる場合じゃなかった。
深呼吸をして、ゆっくりとドアノブに手をかける。
カチャ、と静かに開けた瞬間、耳に飛び込んできたのは奈々加の甲高い声。
その声に、もしやと思ってそのまま部屋に入ると、唯翔の上に乗った裸の奈々加が振り返った。
「あら、アンタ生きてたのぉ?今お楽しみの途中だから邪魔しないでぇ?」
ニヤリ、と笑う奈々加に歯軋りをする。
「ふざけんじゃないわよ!唯翔からどけ!」
「はぁ?ふざけんなはこっちのセリフ~。さっさと出ていってよ」
唯翔は上半身はTシャツを着ているけど下は下ろされている。
しかも、目を閉じたまま…気を失ってる?
「唯翔!」
「ちょっ…」
どん、と唯翔から奈々加をどかして唯翔の体を揺さぶる。
反応がない…!
「起きないのは当たり前でしょう?だって睡眠薬どれだけ飲ましたかしら…」
奈々加はそこら辺にあった服を着ながら、あたしに笑った。
睡眠薬って…
「アンタ…、そんなに睡眠薬飲まして唯翔が目覚めなかったらどうするわけ?」
「永遠にアタシのものなんだからアンタには関係ないでしょう?」
ブチッと頭の血管が切れたような気がした。