あたしをア・イ・シ・テ
ぐい、と涙の後を拭って、その足であたしはサッカー部の部室に歩いていった。
―――コンコン
唯翔たちのところよりも大きな話し声が漏れている部室のドアを叩く。
こんな小さな音じゃ聞こえないかな?
「ん~?誰?」
からから、と横に開くドアを開けたのは、少しチャラそうな人。
あ、この人知ってる。
確か副部長だった人だ。
もう引退したのにここで食べてるんだね。
「あの、唯翔、いますか?」
少し弱々しい感じを出してそう言うと、副部長もあたしに思い当たったらしく、閃いた表情をした。
「あ~!芽衣ちゃんでしょ?知ってる知ってる!唯翔まだ来てないけど、教室いない?」
「いなくて、ここにいるかな~と思って来てみたんですけど…。どこ行ったんだろう?」
「ん~?トイレとか?」
「もう昼休み始まって15分はたちますよ?」
「長ぇトイレだな。ちょっと待ってね、聞いてみる」
この様子は、先輩は白だね。
唯翔たちの関係こと、知らなそう。