あたしをア・イ・シ・テ
Ⅲ
「はぁ…」
もう今日は散々だ。
病室で目覚めた瞬間、当たり前だけど夏芽と親には怒られるし、医者にも小言を言われた。
まあここまでは勝手に抜け出したあたしも悪いと思うけど、唯翔のことがショックすぎる。
寝ている間に精神安定剤を打たれたらしく、あたしも少しは落ち着いていた。
唯翔…もし目覚めなかったらどうしよう?
浮気の理由も聞けず、なにより、まだ仲直りしていない。
「帰ってくるって、当たり前って言ったよね…?」
じわ、と涙がまた浮かんできてしまう。
あたしはぐっとこらえて、布団に潜り込んだ。
そのうちウトウトと微睡み始めて、もう一歩で夢の世界に入りそうな頃、「芽衣」とあたしを呼ぶ声が聞こえた。
夢?現実?
区別がつかなくて、布団から出ようか迷っていると布団の上から背中辺りをぽんぽん、と叩くのがわかった。
「誰?夏…」
起き上がると同時に、あたしの大好きな笑顔が飛び込んできた。