あたしをア・イ・シ・テ




「はぁ…」


もう今日は散々だ。

病室で目覚めた瞬間、当たり前だけど夏芽と親には怒られるし、医者にも小言を言われた。

まあここまでは勝手に抜け出したあたしも悪いと思うけど、唯翔のことがショックすぎる。


寝ている間に精神安定剤を打たれたらしく、あたしも少しは落ち着いていた。


唯翔…もし目覚めなかったらどうしよう?


浮気の理由も聞けず、なにより、まだ仲直りしていない。


「帰ってくるって、当たり前って言ったよね…?」


じわ、と涙がまた浮かんできてしまう。

あたしはぐっとこらえて、布団に潜り込んだ。


そのうちウトウトと微睡み始めて、もう一歩で夢の世界に入りそうな頃、「芽衣」とあたしを呼ぶ声が聞こえた。


夢?現実?

区別がつかなくて、布団から出ようか迷っていると布団の上から背中辺りをぽんぽん、と叩くのがわかった。


「誰?夏…」


起き上がると同時に、あたしの大好きな笑顔が飛び込んできた。



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