あたしをア・イ・シ・テ
「唯翔!!」
「うっせぇわ」
唯翔だ!唯翔だよね!?
髪はちょっとぼさぼさだけど、他に傷も見当たらないし、よかった。
あたしは今すぐ抱きつきたかったけど、あることに気づいてしまった。
「唯翔、車椅子?」
「あぁ。こんなもんなくても平気なのによ。まぁ一応まだ、だりぃしこれも楽だけどな」
「あ、睡眠薬で?ん?起きるの早くない?奈々加、大量に飲ませたって」
まだ当分目覚めないものだと、むしろもう目覚めないんじゃないかと心配してたのに、少し拍子抜けした感じ。
「まともにあんな量飲んだらマジで死ぬだろ。なんだかんだ誤魔化して、飲まなかったんだよ。
まぁそれにしても普通の量からしたら多かったから起きるのに時間はかかったけどな」
あんな量、ってのがどのくらいなのかはわからないけど唯翔が死ぬ、というぐらいだから結構な量だったのかな。
「そうなんだ…。でも…よかった…」
泣きそうになって、慌てて口角をあげて涙を引っ込めようとすると、唯翔は不思議そうな顔をした。
「お前いつからそんな素直になったんだ?あ、頭打ったんだっけ、だからだな」
「うるさいな!あたしだって心配だったんだから!」