あたしをア・イ・シ・テ



「もー、割り勘でいいっていつも言ってるじゃん」

「いーんだよ今日は」

「いつも奢ってくれるじゃん」

「はっ、感謝しやがれ」

「…はいはい」


ぽん、と芽衣の頭に手を乗っけて、納得させる。

もちろん男友達と行くときは割り勘か、自分の分を払うかだけど、なんか芽衣とは嫌なんだよなー。

俺がただの見栄っ張りなだけだろうけど。


二人で話をしながら、俺の家へと歩いていた。


「…でさー…」


芽衣がなにかを言いかけたとき、真正面から自転車が迫っていた。

こんなに道空いてんのにわざわざ、芽衣の真正面に。

俺はとっさに芽衣の体を抱き寄せて衝突を避けた。

「びっくりした…」

俺の腕の中で、芽衣が呟く。

「んだよ、あのチャリ。危ねぇな」

チッと舌打ちをするも、とっくに自転車は走り去ったあと。

ブレーキをかける素振りも見せなかった。

怪我したらどーすんだよ。

「唯翔、もう離していいよ」

「ん、あぁ」


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