あたしをア・イ・シ・テ




「お、杉浦、ちょっとこい」


「はい?」


昼休み、芽衣とジュースを買った帰りに、廊下でサッカー部の顧問に声をかけられた。


「芽衣、先教室帰ってて」

「おっけー」


芽衣が階段を上っていくのをちらりと見て、顧問の橋川に向き直る。


「今日の練習は、この間の練習試合の…―」


練習試合の俺たちの弱かったところ、それを強化する練習メニューの説明をされる。

なんで俺にこんな説明をするかと言えば、次のキャプテン候補に入っているからだろう。

先輩も次の大会で終わりなんだな、なんて考えながら、先生と話し込んで10分近くはたったころ。


「きゃぁあ!?」

と、女の悲鳴が上から聞こえた。


階段の近くにいたから、2階の声も響いて聞こえてきた。

周りにいる生徒も、もちろん俺と先生も何事かと反射的に上を見た。


なんか、芽衣の声に似てたような気が…。


妙な胸騒ぎに、先生に様子を見てくると伝えると俺は階段を駆け上がった。


< 141 / 179 >

この作品をシェア

pagetop