あたしをア・イ・シ・テ
―――「涼先輩!俺、部活ちょっと遅れます」
帰りのHRが終わってすぐに3年の教室に向かって、部長の涼先輩にそう言った。
「あん?なんだ彼女か?」
少しだけニヤ、とした先輩に俺は違います、と答えた。
「ふぅん、まぁいいけど。お前が来ないとつまんねーからな、遅れても来いよ」
「はい、絶対行きますんで。失礼します」
涼先輩に頭を下げ、俺はそのままとある教室に向かう。
確か理科の準備室だった。
3年の教室から近くて案外早くついた。
早く話をつけなくては。
ガラッと戸を開けて中にはいれば、すでに明かりがついていて目的の人物がいることがわかった。
でも教室を見渡してもその姿は見えない。
「おい…、どこいんだよ、相沢」
「ふふっ、ここですよー」
カーテンの隙間から顔を出した相沢が俺へと近づいてくる。
「お前だろ、芽衣にあんなことしたのは」
「あんな?どれですか?」
とぼけるわけでもなく、"どれ"だと?
こいつ…やばい奴かもしれない。
本能がそう呼び掛けるも、俺が怯むわけにはいかない。