あたしをア・イ・シ・テ
決意
「―…で、その後は休みのたびに呼び出されたり、部活のあと呼び止められたり、色々…」
奈々加の話…というか、過去の話をしている間、唯翔はだんだん下を向いちゃって表情がうかがえなかった。
唯翔は奈々加のことが好きだったわけじゃないんだ。
よかった。
それよりも、あたしのため…だったなんて。
あたしを利用して唯翔と付き合おうとするなんて、やっぱりあの女はどうかしている。
あの時の自転車や階段から落ちたやつ、あれも奈々加の仕業だったなんて思いもよらなかった。
むしろ、そんなに前から、だったんだ。
あたしはとりあえず気になったことは質問することにした。
なにか、心に残したままじゃこの先それが原因で喧嘩別れになんてなったら…嫌だから。
「…した?」
ちら、と唯翔のほうを見ながらそう聞くと、唯翔はバッと顔をあげて首を振った。
「キスとかはしたけど…、そこまではしてねぇ」
その言葉にホッとしたような、キスはしたんだ、と失望するような。
部室にあった避妊具の箱…、あれを取りに来たっていう勘は外れてたってことでいいの?
「あのさ、いつだか部室で会ったときのあれは、なんの用があって?」
「あぁ…、俺はなるべくふたりでいたくなかったしたまたま行ったんだよ」
「そっか…」