あたしをア・イ・シ・テ



黙りこんでしまって、唯翔が車イスをキィと音をたてるのだけが響いていた。


微妙な沈黙を破ったのは、唯翔。


「お前は…彼方とは、なんなんだよ?」


「彼方?」


なんかあったっけ…。

「あ」


あれのことか、まぁ結構絡んでたし唯翔に反省してもらうのが目的だったやつ。


「別になんでもないよ、ただ唯翔の気が引きたかっただけ」


するり、と思ったことが口からでてくる。

今日ぐらいは素直になれってことかな。


「…芽衣」


唯翔に真っ直ぐに視線を向けられて、あたしも見つめ返す。


「本当に悪かった。芽衣が傷つかないためとか言って、結局傷つけた。しかも、こんなことにまでなっちまった。ごめん…」


「唯翔…」


あたしは…、唯翔が無事で、あたしのところに戻ってきてくれたらもう、それでいいよ。


あたしは頭を下げている唯翔の頭を撫でた。


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