あたしをア・イ・シ・テ
――「有莉沙~!」
あたしは学校について教室に入るなり、有莉沙の名前を呼んだ。
「その声は芽衣!?」
病院にも何回かお見舞に来てくれたけど、今日登校するというのは内緒にしてあった。
有莉沙は満面の笑みであたしの元に駆け寄ってきた。
走ってきた勢いのままあたしに抱きつくから、体が後ろに倒れそうになる。
それを唯翔が支えてくれた。
「なんで今日来るって教えてくれなかったの~!びっくりした!もう!」
「ごめんって。びっくりさせるのが目的だったの!」
有莉沙は口では怒りながら、ずっと笑顔だった。
教室の入り口で騒いでいると、クラスメートたちも集まってきてしまった。
「体大丈夫なの!?」とか「1年の子なんでしょ?」とか色々な質問も飛んでくる。
あぁ、確かテレビでもちょっとした事件として、放送されちゃったらしいから、みんなが知ってるのは当たり前か…。
それにあたしもこんなに休んでた訳だし。
あたしは明確に答えるのもなんか嫌で、怪我に関すること以外は曖昧に返しておいた。
もうすぐでチャイムが鳴りそう、というとき唯翔がいった。
「お前ら、その辺にしといてくんね?芽衣もまだ、ちゃんと回復してるわけじゃねぇから」
そんな唯翔の言葉に、クラスメートは口々に謝り、席へと戻っていった。
「唯翔、ありがと」
正直ちょっと朝からもう疲れていた。
こんなに囲まれるとは思ってなかったし。
「別にたいしたことじゃねぇよ」
照れた風に笑った唯翔に、頭を撫でられあたしたちも席につく。