あたしをア・イ・シ・テ



先生が来るまでの間あたしは考えていた。



あたしは奈々加を許したわけじゃない。

でも、出来れば、許す、許さないの問題じゃなくもう関わりたくない。


ここまでされて許すなんて出来ないだろうけど。


その話をすることさえ、もう嫌。


警察にだってさんざん聞かれた奈々加のこと、口には出したくない。


そして、もう思い出すのも、今日を最後にする。


実は今日、奈々加があたしと唯翔をこの学校の裏にある高台へと呼び出してきた。


警察に行った奈々加はどういう経緯かは聞けなかったけど、もう釈放されているらしい。

未成年だからなのか、なんなのか。

その代わり、精神カウンセラーに通っているらしい。


奈々加は感情が高ぶると正常な判断が出来なくなるそう。

それの治療らしく、今は落ち着いていると聞いた。


そうじゃなきゃ、謝りたいというあのメールを信じて、呼び出しなんかに応じない。


また襲われそうなら、逃げればいい。

それに、唯翔も一緒にいるんだから。

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