あたしをア・イ・シ・テ




「はぁ…結構疲れる…唯翔待って」

手すりにもたれかかって、息を吐き出す。

「ほんっと体力ねぇな。っつか病み上がりだから仕方ねぇか…」


あたしたちは今、学校の裏の高台へと続く結構急な階段を上がっている。

なんでこんなところを奈々加は指定したんだか…。

周りは木ばっかりで降りるときは暗いだろうから、帰りが不安。

幽霊とか出そう。

ぶるっと身震いをして、あたしより先にいる唯翔の後を追った。


このあと奈々加と話をするって言うのに、階段を上がるだけで疲れそう。

唯翔なんか部活やってきたくせに、呼吸を乱しもしない。

さすが運動部と言うべき?

今の場合では置いていってほしくないところだけど。


ふぅ、と、一度息を整えようかと立ち止まると後ろで足音のようなものが聞こえた。

咄嗟に振り返るけど、もちろん誰もいない。

あたしの足音が響いたのかな?


「おーい、なに立ち止まってんだよ」


「待って、今行くから~」


頂上が近くなったとき、唯翔は少し降りてきてあたしと並んで歩いてくれた。


そして、やっとたどり着いた。


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