あたしをア・イ・シ・テ
「ま、どか?なんでこんなこと…」
「あれ?芽衣先輩、奈々加が死んだんですよ?嬉しくないですかっ?」
ニヤリ、といつものまどかとは違う笑みをこぼす。
嬉しい悲しいの問題じゃない。
あたしは、そこまでは望んでいなかった。
しかも奈々加はあたしにきちんと謝ってきた。
本心かは、わからないけど。
まどかは黒いフードをとって、いつものようにポニーテールを揺らした。
「ふぅっ。あー、暑かった」
「まどか、あたし、殺してなんて頼んでない」
「そうですね?殺したのはあくまでも、私の意思ですよ?」
なんでもない風に、まどかは首を傾げながら言った。
「芽衣先輩」
スタスタ、とまどかがあたしの所に歩いてこようとする。
もちろん、まだナイフを持ったまま。
「芽衣に近づくな」
さっきまでのように、また唯翔があたしの前に立ちはだかろうとすると、
「来ないでください。唯翔先輩を傷つけたくはありません」
と、ナイフを唯翔の前にかざしたのだ。