あたしをア・イ・シ・テ
「…」
会計が終わり、店の外にいる彼女の元まで歩くとき、俺は今までの人生―…というか、高校での出来事を思い返していた。
あのとき死ぬはずだった俺を命がけで守ってくれたのは彼女だった。
スマホを知り合いの警官、三崎さんと繋げっぱなしにして、俺はあの山を登った。
万が一のためと思って、そうしていたけどまさかあんなことになるなんて。
――あの日、三崎さんの知らせで警察が高台に到着する寸前。
芽衣が立ち上がり、落ちていたナイフで谷口の背中側から心臓に突き刺した。
それによって、谷口のナイフは降り下ろされはしたものの、刺されたことによって奇跡的にずれ、俺は助かった。
そして、芽衣は谷口を刺した後はそのまま倒れ込み、数週間生死の間をさまよった。
あの場で意識を取り戻したこと事態、ありえないことなのにまさか、谷口を刺すなんてと警察は戸惑っていた。
でも芽衣のことは"正当防衛"として通った。
事件は俺と通話を繋いでいた三崎さんのスマホの録音音声やらを解析したり、
俺たちの証言により、谷口まどかの犯行とした。
そして―…、現在。