あたしをア・イ・シ・テ
「なに立ち止まってるの?唯翔」
「あぁ、ごめん」
23歳になった今もまだ、俺の隣で微笑んでくれている。
「さぁー、明日は俺たちの結婚式だからな!」
「え、なによ、急に元気出しちゃって。気持ち悪いな」
相変わらずの毒舌も兼ね備えて。
芽衣は事件のことはキレイさっぱり忘れている。
ショックによる記憶喪失だそうだ。
それでいい。
思い出さなくたって、いいことだ。
余計な記憶はいらない。
俺たちは、これから二人で誰にも邪魔されず、幸せになるのだから。
「愛してるよ、芽衣」