あたしをア・イ・シ・テ



部室から出て部室棟の前にある花壇に座っていると、サッカー部員が帰ってくるのが見えた。


「あ!唯翔ー」

「おー、すぐ支度してくるからそこにいろよ~」

ひらひら、とあたしに手を振る唯翔。


あ、ヘアバンドしてる。

薄い緑色のヘアバンドは、去年の唯翔の誕生日にあたしがあげたもの。


…そうやって、あたしのことを大事にしてくれているように見える唯翔の浮気の理由が未だに掴めない。


あたしには前と変わりなく接してくれていると思うし、嫌われてるとも思えない。

問題は奈々加にあるのか。

理由が掴めないことには、唯翔にはどうにも責めようがない。

まぁ、あくまでもあたしは、女の方が嫌い、イヤ。


唯翔があたしよりも奈々加が好きだと言うなら、もう容赦はしないけど。




< 25 / 179 >

この作品をシェア

pagetop