あたしをア・イ・シ・テ




「いただきまーすっ!お腹ぺこぺこですよもー」


そう言ってイキナリお弁当のからあげを食べるまどか。

え、からあげはメインなんだから最後でしょ。

まどかは好きなものは先に食べちゃうタイプなのか。


今日は、木曜日。

約束通り、まどかとお弁当を屋上で食べていた。

ただし、もうすぐ10月なので風が少し冷たい。

今日はポニーテールにしていないまどかの髪が、さらさらと風に揺れている。


その度に、ふわりと花のようなシャンプーの匂いがした。


「あ、唯翔先輩、芽衣先輩といるときはどんな感じなんですか?照れちゃっていつも教えてくれないんですよ」

もごもご、と卵焼きを食べながら頬を膨らませるまどか。


「あはは、唯翔照れるんだ」

なんか想像できるな、"う、うるせーっ"とか言いそう。


「ん~、唯翔はねー、デートの待ち合わせには必ずあたしより遅く来るんだけどね」


「え、芽衣先輩のほうが早いんですか」

「そうそう。それで、あたし駅の中のお店とかで待ってるんだけど、唯翔は遅く来たくせに先にホームまで行って"早く来いよ"とか言うの!」


「あはは!唯翔先輩さいてーですね!」


「でも、電車乗ったらドア側にしてくれるし、根は優しいよ」


「あ!確かに試合のときとか、相手が倒れちゃったときにすごい声かけてたりしましたよ」

「そうなんだ、それはちょっと意外」


少し誇らしくて、ふふ、と笑みがこぼれてしまう。


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