あたしをア・イ・シ・テ



「まぁ、私の勘違いかもしれませんけど」

まどかの、パチンッと、お弁当箱の蓋を閉める音が屋上にやたらと響いた。

いつの間にか風が止んでいる。


あたしも空になったお弁当箱を鞄に戻して、足が痛くなったから座り直した。


すると、カチャ、と静かにドアが開く音がした。


あたしたちが二人してそのドアを凝視していると、屋上に姿を表したのは噂をしていた奈々加だった。


「よかったいた。まどかちゃん、サッカー部でミーティングするって、先生が言ってたよ」


「え、急に!?わかったすぐ行く!芽衣先輩、またLINEしますね!」


「わかった、またね」

あー、まだ聞きたいことあったのになぁ。


奈々加の唯翔への愛情は相当なもののように思える。


あたしに、なにか仕掛けてきても不思議じゃないくらいに。


まぁもう既に浮気はされているわけだけど。



「あたしも帰ろ」


一人でそう呟いて、あたしは教室に向かった。


教室に有莉沙いるかなぁ、有莉沙も友達と食べるって言ってたし、微妙だなぁ。





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