あたしをア・イ・シ・テ
「ん、ありがと。ついでにそれも一口」
「え~?しょうがないな、はい」
あたしがフレンチトーストをねだると、本当に一口分しかくれなかった。
「…まぁいいけどね」
その一口を食べて、コーヒーをゆっくり飲みながら、これからのことについて考えていた。
きっと、一歩道を間違えば、唯翔を失うことになる。
それはなんとか避けたい。
あたしは、あることを思い立ってスマホを使おうとした。
「…あれ?スマホどこやったかな」
パーカーのポケットにはないし、下に履いているジャージにもない。
持って出なかったのかな。
あまりに奈々加に気を取られて。
「お姉ちゃんのスマホなら部屋じゃない?さっき鳴ってたよ」
「やっぱり持って行ってなかったか」
ならもう朝御飯も食べたし、リビングに用もないしさっさと部屋に戻ろう。
今日はどうせ何も用はないし。
「じゃあ夏芽、あたし部屋戻るから」
「あー、二度寝するんでしょ?太るよ」
「寝ないし。後片付けよろしく」