あたしをア・イ・シ・テ
「唯翔どうし…有莉沙!!?」
そこには、頭から血を流して倒れる有莉沙がいた。
意識がない。
側には、校舎からのびる階段。
「落ちたの…か?」
唯翔が呟き、階段を見上げる。
「有莉沙!しっかりして!」
体を揺すっても、なんの反応も返ってこない。
「芽衣、落ち着け。出血してるから、揺らすな。保険医呼んでくる」
「わ、わかった…」
あたしは制服に砂が付くのも気にせず、地面に座り込んだ。
苦しそうな顔をして目を閉じている有莉沙。
あたしは、はっ!として有莉沙の腕を取り、脈を探した。
ちゃんとドクンドクン、と振動が伝わってくる。
あたしはほっとして、そのまま有莉沙の手を握りしめていた。
「南川さん!」
数人が走ってくる足音がして、担架を持った先生と、保険医の先生が見えた。
あたしはボーッとして、先生たちが有莉沙を運んでいくのを見ていた。