あたしをア・イ・シ・テ
「うん!たまに頭痛くなるけど平気だよ」
「そうか」
唯翔もほっとしたような顔をしたから、あたしは言いたかったことを言った。
「有莉沙、階段踏み外すなんてそんなにドジだったっけ?」
「あ…えと、」
有莉沙の表情が珍しく曇る。
いつも笑ってるのが有莉沙なのに。
「違うの、なんか、誰かに背中押されてそれで…」
「落とされたってこと!?」
「まぁ…そういうことになっちゃう」
あはは、と戸惑った顔で頬を掻く有莉沙。
それもそのはず、有莉沙はそんなことをされるようなこと、しないから。
いつも穏やかな有莉沙が人に階段から突き落とされるなんてことをされるはずがない。
「顔は?見えなかったのか?」
「階段降りてるときだから、顔は見えなかったけど、でも落ちるときスカートの柄が見えた」
「てことは、女子…?あ、ていうか、呼び出しはなんだったの?」
「それが、来なかったから探してて。それで階段にいるときに、さ」
「じゃあ、呼び出した奴が犯人に思えるな」
難しい顔をして、唯翔もあたしも心当たりを探すけど、誰も思い付かない。
有莉沙は恨まれるような子じゃないもん。